近畿中国森林管理局主催の地域懇親会にて『貴船山国有林』の復旧状況を見学

こんにちは。行政書士の野口です。

11月に入り大阪も朝方は寒くなってきました。最近は大阪府行政書士会の研修が立て続けに続いていたため、なかなか投稿を更新できませんでしたが今回は、先日参加させていただきました『国有林の森林計画に関する地域懇親会』(近畿中国森林管理局主催)について書きたいと思います。これまで知らなかった森林について色々勉強させていただきました。森林のこれからや現在抱えている問題など今後の森林支援の糧にしたいと思います。

それでは、まず近畿中国森林管理局についてからです。


近畿中国森林管理局とは

画像はイメージです。

『近畿中国森林管理局』とは”林野庁” の地方支分部局

大阪市に事務所があり、 石川県 ・ 福井県 ・三重県 ・ 滋賀県 ・京都府 ・大阪府 ・兵庫県 ・奈良県 ・和歌山県 ・鳥取県 ・島根県・ 岡山県・ 広島県・ 山口県 の合計2府12県という広大な地域の『国有林』を管轄しています。

『国有林』とは、国が所有する森林・原野のことです。国が所有しているということは、我々『国民共通の財産』であるということになります。そのため『近畿中国森林管理局』のような国の機関が『国有林』を管理し、山の自然災害を防いだり、水源を守ったり、森林の保護や、森林に生息する野生生物の生育、技術開発、森林に関するさまざまな計画の作成など森林に関する事務を多岐に渡って行っています。

我々国民は彼らのおかげで『国民共通の財産』を守ることができています。

そして今回私自身が参加させていただいたのは、京都府の『淀川上流森林計画区』(京都市・宇治市・亀岡市・南丹市・木津川市・井手町)の見学会・懇親会です。


山林の台風被害

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叡山電鉄は2021年9月18日(土)より運行再開しました。

今回の地域見学会・懇親会は、午前の部・午後の部の2部構成となっていました。午前の部は見学会で、平成30年の”台風21号”の被害地となった『貴船山国有林』の復旧状況を見学し、午後の部は懇親会で、市内のホテルで行われました。

まず午前の部の見学会ですが、叡山電鉄の『貴船口駅』に隣接する山を見学・説明を受けました。当日は雨がひどい中、局員の方が丁寧に災害当時から現在、そしてこれからについての計画まで教えていただきました。

被害は、隣接する叡山電鉄や貴船神社付近にある料理旅館にも影響が及び、いただいた資料により叡山電鉄の線路への土砂崩れや、林が折損被害や倒伏被害など写真で確認することができ、その当時の被害の状況がわかりました。

災害後の復旧についても説明していただき、倒木した立木を一本ずつワイヤーロープに巻き付け、専用のヘリコプターで2km先の土場まで運搬されたそうです。その回数は4日間で202回も飛行されたそうで作業の大変さを物語っています。そのほか、人力による枝条等搬出や柵の設置、植生マットの設置などが行われ、現在にいたります。被害発生から2年が経過し現在、も復旧作業は続いています。復旧完了までにはあと2年以上かかるそうですが、確実に復旧は進んでいます。

そして、被害のあった叡山電鉄も2021年9月18(土)より運行再開され、これから秋の紅葉の季節に間に合いよかったと思っています。


国と地方自治体の森林計画

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午後の部は、森林懇親会

午前の部終了後、午後の部の会場となる京都市内のホテルへ移動しました。まず『近畿中国森林管理局』の方から国有林に関する森林計画の目的や内容の説明をされ、その後、質疑応答が行われました。参加されていた方の中には都道府県や市町村の森林担当の方もいらっしゃり、質問も森林に関することや地方自治体が抱える問題などさまざまあり、私自身も森林支援を行う際の参考になりました。

私自身も『相続土地国庫帰属法』について質問しましたが、現在のところ法律については確認していますが、通達などはまだ来ていないということで詳しいことはこれからとのことでした。

今回、この懇親会に参加して感じたことは、国と都道府県・市町村などの地方自治体は、それぞれ個別の森林計画を立て実施しています。そのため、それぞれの計画の内容によっては国と地方自治体で重複しているところもあり、お互いに協力することができるのではないかと模索しているように感じました。そのため今回のような懇親会は市民と行政との機会だけでなく、国と地方自治体が協力をし合うための機会でもあるのだと思いました。可能であれば今後もこういった機会に参加させていただきたいと思いました。


最後に

森林計画は地域一体とならないとできない。

今回の『貴船山国有林』の見学会と懇親会で思ったのは、それぞれの地域や地形・気候などにより森林計画を個別に考えなければならないことです。例えば、土砂崩れ等に強い土地にしようと思うと広葉樹の植生を考えますが、そうするとシカやイノシシなどの獣害被害の発生も考えなければなりません。その地域にあわせた森林計画を立てなければならないのです。そしてその森林計画を実施するにはその地域の方の協力が欠かせません。所有者不明森林や放置された森林があることにより森林計画がうまく進まないこともあるのではないでしょうか。そうならないよう、森林所有者の方には積極的に関わってもらえればと思います。

今回は以上です。ありがとうございました。