太陽光発電による農地転用の注意点

皆さん、こんにちは。

行政書士の野口です。

今回は、最近新聞等で報道された『太陽光発電による農地転用の注意点』をご紹介します。

【太陽光発電イメージ】

最近、報道された太陽光発電企業の融資金詐取の話

先日、太陽光発電企業『テクノシステム(横浜市)』の社長など3名が逮捕される事件がありました。

これは『テクノシステム(横浜市)』の資金繰りが悪化したため

金融機関に対し、福島県内の太陽光発電設備を開発するなどと偽った書類を提出。

そして融資金を詐取したという事件です。

この事件の発端となったのは新聞記事によると、

土地開発許可が下りず、農地での太陽光発電事業ができなかったことが原因の一つとされています。

(その他にも原因はあるようですが・・・。)

今回の『テクノシステム(横浜市)』の事件は

これからの農地転用をする時の大きな問題と課題を残しました。

なぜなら、今回のこの事件が大きく報道されたきっかけは

『テクノシステム(横浜市)』がSBIホールディングス(HD)の子会社で

ネット経由で融資を仲介するSBIソーシャルレンディング(東京)が

投資家を募ったファンドからも融資を受けていたためでした。

このことは、私自身もショックでした。なぜなら、これだけの大企業が関わっていたためです。

私自身が農地所有者であって、このような大手企業から農地転用の話があれば

信頼してすべてを大手企業である相手側にすべてをまかせていたと思います。

しかし実際は、土地開発許可が下りず、頓挫してしまったことにより、その農地の用途は中途半端になってしまったのです。そして、そのツケはすべて農地所有者へまわってくるのです。

そのため農地転用を行う時、どのような大手企業であってもすべてを信用せずに

農地所有者側も行政書士などの専門家に相談や代理人など確認することが必要なのだと思いました。


農地の違反転用は年間3,000~4,000件

こちらの話も先日新聞記事を読み、驚きました。

太陽光発電の拡大に伴い、無許可による違反転用が年間3,000件~4,000件あるというのです。

通常農地は、市町村にある農業委員会が農地をパトロールをして回り、農地の状態を確認・報告を行っているのですが、それでもこれだけの数の違反転用が行われているのです。

政府は2050年までにCO2排出削減を掲げており、太陽光発電などの再生可能エネルギーは

今後必要となってくることは理解できます。

しかし、農地の違反転用をしてまで行うことではないと思うのです。

違反転用ということは、耕作できる農地を太陽光発電に利用している場合も含まれていることも考えられます。

それでは、いくら再生可能エネルギーが必要だとしても、耕作できる農地を減少させてしまっては

意味がないのです。 農地として耕作できるのであれば耕作する方がよいと私自身は思うのです。

私自身は農業と再生可能エネルギーが共存していく形が望ましいと思っており、再生可能エネルギーは荒廃農地など、農地として耕作が難しいところを利用するのがよいと考えています。

今後そのようになっていってほしいと願っています。

ちなみに、農林水産省が違法な農地転用を監視するためドローンを活用するそうです。

こういった取り組みがもっと広がればいいですね。


農地に関する知識を広げ、専門家を増やす

今回の違反転用などが起きてしまう問題の原因として

『農地に関する知識を知っていたか』という問題があります。

例えば不動産に関して知りたければ、法務局へ行き登記簿を調べれば権利のことがわかります。

これは、不動産関係者をはじめさまざまな方が知っていると思います。

しかし、農地について調べる方法はあまり知られていりません。

登記簿だけを見ればよいのではなく、農業委員会の農地台帳などの確認も必要です。

また農地を賃貸借契約をしていた場合、どの法律に基づいて契約しているかにより

権利内容が異なります。また農地は未登記も多くあり、真の権利者が不明の場合もあります。

このように農地に関して知りたければさまざまなことを調べなければなりません。

そのため違反転用を行っている企業・業者の中には、農地に関する知識があまりなく

登記簿のみを調べて違反転用をしている業者もあるのではないかと考えています。

(万一、知ってやっている企業があったとすれば、それは本当の転用違反企業です。)

そのため、私自身は農地に関する知識を広げることが必要だと思っています。

また、この広げるにも課題があります。

先ほど紹介したとおり、農地に関する法令ははさまざまあり複雑です。

そのため、農地に関する法律の専門家が非常に少ないように思います。

そのため、太陽光発電企業も相談先や提携先が少ないため、知識不足のまま違反転用を

行ってしまうのではないかとも思うのです。

企業もなるべくリスクは背負いたくないはずです。

農地に関する相談先・提携先の数が十分にあれば、違反転用などしないはずです。

その相談先や提携先となれるのは、我々行政書士もその一つだと考えています。

私自身はこういった農地に関する違反を出来る限りなくすため

これから、農地に関する情報提供をおこなっていきたいと考えています。