2021年ノーベル物理学賞と森林評価転換の可能性

こんにちは。行政書士の野口です。

今回は、ノーベル物理学賞を受賞された、真鍋淑郎氏(米プリンストン大学上席研究員)の研究が世界に与えた温暖化現象をきっかけに、これから更に起きるのではと考えていることを書きたいと思います。

今回は、妄想的・希望的なところがありますので気楽に読んでいただければと思います。色々とご了承下さい。


2021年ノーベル物理学賞について

ノーベル物理学賞、受賞理由について

2021年10月6日の日経新聞によると、今回のノーベル物理学賞の受賞者は、真鍋氏のほか、クラウス・ハッセルマン氏(独マックス・プランク気象学研究所)とジョルジョ・パリージ氏(伊ローマ・サピエンツァ大学)の三名の共同受賞だそうです。

今回の受賞理由として「地球温暖化を確実に予測する気候モデルの開発」などによるとしています。大気中の二酸化炭素(CO2)の濃度が、気候に与える影響を初めて数値で明らかにし、ノーベル賞選考委員会は、真鍋氏が『大気中の二酸化炭素(CO2)の濃度の上昇が地表の温度上昇につながることを実証した』とし、『脱炭素』のきっかけにもなりました。

真鍋氏は、太陽から地球の地表面が受け取るエネルギーと、地球から宇宙へ逃げていくエネルギーを差し引いて『放射収支』と『大気の動き』との関係を世界で初めて解明され『気候モデルの開発の基礎』となりました。 そして現在では、地球温暖化の問題は科学に基づいているされています。


森林評価転換の可能性

”森林=木材利用”を変えることはできるのか。

現在の森林の利用目的は、主に木材として利用されることがほとんど(中にはキノコの採取などもあります。)で、世界の需要と供給のバランスによりその価値が決まります。現在、ウッドショックにより、木材の需要は高まり価格が上がっていますが、川上の森林はその恩恵をほとんど受けず、年々価格が下がっているそうです。そのため日本では森林の経営・管理をすることが年々難しくなっているのが現状です。

しかし、今回のノーベル物理学賞や脱炭素により世界が動き出し、森林評価を変えるかもしれません。それは森林によるCo2削減が見直されようとしているからです。例えば、中国はその国土の広大さを利用し、着実に森林を増加させています。その理由はCo2削減のためといわれています。また欧州などでは、森林による吸収量が増加傾向にあります。

世界での森林に対する評価は”木材”としてだけでなく”Co2削減”としても評価されつつあるのです。


日本の森林の現状

日本の森林は国土の約7割。

これまで書いてきたように日本は森林国家であります。日本の国土の約7割が森林であり、人の手でスギやヒノキが植生された『人工林』も多くあります。それら『人工林』は戦後に多くが植生され、現在ではその半数が樹齢50年を超えた”主伐期”といわれる伐採の適齢期を迎えています。

しかし、林業の担い手不足により”主伐期”であるにもかかわらず、伐採できていないのが現状です。そして、森林は”主伐期”を超えると人間と同じようにCo2の吸収量は衰えていきます。そのため、”主伐期”に伐採し、新たに植生・保育を行うことにより循環させなければ、樹齢とともにCo2の吸収量は年々減少してしまうのです。

そのため、政府が9月に公表した”地球温暖化対策計画の原案”によると、Co2の吸収量は、2019年度の4290万トンから2030年度の目標値3800万トンまで1割以上も減少する見通しで、中国や欧州が増加傾向であるのに対して、日本は減少傾向にあるのです。その原因の一つとして、植生・保育・伐採の循環が行われていないことにあるのです。

『森林経営管理法』の役割

森林所有者の多くは森林の経営・管理を行っておらず、森林を放置してしまっているそうです。そのため政府は、昨年『森林経営管理法』という法律を創設し、市町村が少しづつ取り組んでいます。

この法律は、森林の経営・管理を所有者に代わって市町村等の行政が経営・管理することができるようにするためにできた法律で、創設初年度は12の自治体の事例が報告されています。今年でまだ2年目なのでそれほど知られていませんが、これから所有者に少しづつでも関心を持ってもらい、放置されていた森林が伐採や植生・保育の循環による経営・管理が行われ、そしてCo2削減へ繋がることを期待しています。

因みに、この『森林経営管理法』の事業を行うため2024年(令和6年)から『森林環境税』という国税ができ、一人当たり1,000円/年が賦課徴収されるそうです。


最後に

最後に、真鍋氏はノーベル物理学賞受賞後の会見で『私はノーベル物理学賞でなく、ノーベル平和賞だと思っている』とおっしゃられていました。

今回の受賞をきっかけに、世界がこの温暖化に向き合いはじめていると思います。それは私自身も感じました。日本は森林国家なので、森林を大事にしないといけませんね。

今回は以上です。ありがとうございました。