相続した農地でお困りの方が、増加しております。

この度は野口真守行政書士事務所のHPをご覧いただきありがとうございます。当所は都心部の大阪市内では珍しい農地・森林専門の行政書士事務所です。大阪市内ですが、全国各地の農地・森林等のご相談、調査、手続等をさせていただいております。農地・森林等でお困りでしたらお気軽にご相談下さい。
〇はじめに、農地上に建物を建てることはできません。
まず、農地上に建物等を建てたり駐車場にしたりする場合、農業委員会等の農地転用許可(農地法4条・5条許可)を受けてからでないと建物等を建てたり駐車場にすることはできません。万一、農地転用許可を受けず建築すると最悪の場合、農地への原状回復命令が下りる場合があります。そのため農地上に建物等を建てる、駐車場にする場合、農転用許可を受けてから建築するのが一般的な手続となります。
しかし何十年も前に建てた建物等や駐車場の場合、建築当時に許可を受けずにおこなってしまっている場合があります。
特に相続が発生したときなどに、相続した住宅や駐車場の立地する土地が農地のままであることが判明する場合が多くあります。そのため当事務所では、そのような相続人のため『追認的農地転用許可』の相談、調査、確認、手続を承っております。
ただし『追認的農地転用許可』は、あくまでも事後的救済処置であるため、故意に無断で農地転用をした場合や、農地の立地等により、原状回復命令が下りる可能性がありますので予めご了承下さいませ。
それでは以下より、『追認的農地転用許可』についてご紹介致します。
『追認的農地転用許可』について

〇『追認的農地転用許可』とは
まず『追認的農地転用許可』の説明の前に、農地や農地転用許可についてご紹介します。
農地とは、不動産登記簿上、地目が『田』又は『畑』の土地のことをいいます。その地目が『田』又は『畑』の場合で、他の地目(例えば、宅地や雑種地など)へ変更しようとする場合、農業委員会等の許可等が必要となります。
『田』又は『畑』 ⇒ (地目変更) ⇒ 『宅地』『雑種地』等 ※農業委員会等の許可等が必要。
これが、『農地転用許可』といわれる許可になります。
農地はほかの土地と異なり農地法等の規制があるため、地目変更のほか、権利を移転・設定する場合など、許可等が必要となります。農地に関する、主な農地法の許可は以下の3つになります。
- 農地の権利移転、設定 (農地法3条許可)※相続は届出
- 農地所有者による農地以外に転用(地目変更)(農地法4条許可)
- 農地以外に転用及び農地所有者以外への権利移転、設定(農地法5条許可)
そのため、農地を農地以外に転用する場合、農地を転用する前に許可を受けなければなりません。
しかし、実際には農地転用許可を受けず、農地転用をおこなっている場合があります。この場合、既に農地転用をおこなってしまっているため、通常の農地転用許可の申請をおこなうことができません。
それでは、どうすればよいのでしょうか。
この場合に『追認的農地転用許可』をおこないます。本来、農地転用許可を受けてからでないと農地転用は出来ませんが、農地転用をおこなってから長期間経っている場合や、周辺環境等を鑑みて農地転用が認められるなどの場合、事後的救済措置として農地転用が認められるのが『追認的農地転用許可』となります。
しかし『追認的農地転用許可』は、必ず認められるわけではなく、本来であれば農地転用が認められない農地などの場合『追認的農地転用許可』を受けることはできません。あくまでも農地転用は、転用前におこなわなければならないからです。
そのため『追認的農地転用許可』は、慎重におこなわなければなりません。
次は『追認的農地転用許可』手続きをおこなう前に必要な調査、確認についてご紹介します。
『追認的農地転用許可』手続きをおこなう前に

〇まずは状態の調査、確認から
『追認的農地転用許可』手続をおこなう前に、まず現在どのような状態であるか調査、確認が必要となります。調査、確認の内容として、主に以下の4つの事項を調査、確認します。この確認をおこなうことにより、『追認的農地転用許可』を受けることができるのか、どのような手続が必要かなどがわかります。また場合によっては、更なる調査が必要となる場合もあります。そのため手続前の確認は、重要となります。
- 土地・建物の不動産登記簿等を確認
- 建物が建築された経緯を確認
- そのほか、必要な情報を収集する
- 現地の現況を確認
それでは、1.土地・建物の不動産登記簿等を確認から順にご紹介致します。
①土地・建物の不動産登記簿等を確認
まず、土地・建物の不動産登記簿を確認します。土地については、地目が本当に田・畑のままなのか、所有者は誰なのか、いつ頃所有者となったのかなどを確認します。万一、共有者等がいたり、抵当権等が設定されている場合、追加の調査、確認が必要になるため、細かく確認します。
また建物についても不動産登記簿の有無を確認します。土地が農地でも、建物が登記されている場合があるためです。もし建物の不動産登記簿があった場合、その建築年月日や建築主、所有者やその他、土地と同じように確認をします。
そのほか、公図などの地図や建物図面なども確認します。これらは建物の立地が合っているかどうかや、増築又は改築などがされている場合も考えられるため、現況と差異はないか確認します。また農地は分筆されることがあり、その建物がどの農地にあるのか、どの農地を転用しなければならないのか確認する必要もあるためです。
近年、追認的農地転用許可が増えていますが、その理由は、相続登記をする際、建物の土地が農地であることが発覚するためです。これから遺言書を作成しようと考えている方は、相続人の負担を減らすため、不動産登記簿の確認もされることをお勧め致します。
次に、土地の不動産登記簿が、田・畑である場合、建物が建築された経緯を確認します。
②建物が建築された経緯を確認
次に、建物が建築された経緯について確認します。
いつ、誰が、どのように建築したのかできる限り経緯を確認します。『追認的農地転用許可』では、この建築経緯が非常に重要となります。特に、いつ建築されたのかによって『追認的農地転用許可』を受けれるかどうかの鍵になる場合もあるためです。
また、これまでにもあったケースで、実際には農地転用許可を受けているが、不動産登記がされていなかった場合など、個別的な事例の場合も考えられます。そのため、建物の経緯を確認することは重要となります。農地転用を行う予定があったのか、誰が農地転用を行う予定だったのか、昔の周辺環境はどうだったのかなども確認します。
③そのほか、必要な情報を収集する
上記2つの確認以外にも必要な情報を確認、収集をします。
特に重要なのは、その農地の立地の確認や、いつから農地転用をしていたか根拠となる資料などです。これらは農地ぞれぞれ個別的なものになりますので、その農地にあわせた資料を収集する必要があります。
これら資料は『追認的農地転用許可』の始末書などを作成の際に必要となるため、出来る限り収集します。また、事前に許可申請で必要となる可能性がある書類等があればそれらも先に資料を収集します。
④現地の現況を確認
上記の土地に関する権利や立地、法令等を調査、確認するのとあわせて、現地の現況も確認します。
実際に建物がある場合、立地の確認のほか、利用状況、周辺の環境などを確認します。万一、周辺に影響を及ぼしている恐れがある場合、『追認的農地転用許可』の手続に影響を与える可能性もあるため、必ず、現地の現況を確認します。
これら4つの調査、確認をすることにより『追認的農地転用許可』手続ができるかどうか、どのように手続きを進めていくかを検討することができます。
『追認的農地転用許可』手続について

上記では、手続前に必要となる調査、確認についてご紹介致しました。上記の情報をもとに『追認的農地転用許可』の見込みがあるのかを検討し、見込みであれば手続をおこないます。
○一般的な農地転用許可と『追認的農地転用許可』の手続の違い
一般的な農地転用許可と『追認的農地転用許可』の手続の違いは、実際にはそれほどありません。しかし『追認的農地転用許可』の場合、既に農地転用をおこなっているため、また何十年も前に農地転用をしている場合もあり、必要となる書類を揃えることができない場合があります。そのため農業委員会等と打ち合わせをおこない、代替となる措置について確認をしなければまりません。それら書類は、専門家でないとわからないことが多く、個別的になりますので随時確認が必要となります。
また『追認的農地転用許可』に場合、農地転用許可申請をしていなかったことに対する始末書の作成が必要となり、一般的な農地転用許可にはない書類となります。
そのため『追認的農地転用許可』は、通常の農地転用許可よりも面倒な手続が増える場合が多くあるといえるかもしれません。
○市町村により手続内容等が異なる
農地に関する手続は、主に市町村にある農業委員会等が担当しています。そのため、その市町村によりそれぞれの許可等の手続は異なります。
例えば、書類の形式や、必要添付書類なども市町村により異なります。また、許可の申請期限、許可等の時期も異なるため、注意が必要となります。そのほか、市町村によって独自の審査要件がある場合があるため、例えばA市で許可を受けれても、B市では許可が受けられない場合もあります。
そのため市町村について事前に確認しておくことも必要となります。
○許可申請から許可を受けるまでの期間について
上記でも記載しましたが、ほとんどの農業委員会等では、農地に関する許可申請に申請期限があります。
例えば、毎月○○日までが提出期限、翌月○○日に総会で審査し、許可をするという流れが多くあります。そのため、許可申請をおこなってから許可を受けるまで早くてもひと月以上はかかると思っておいた方がよいでしょう。
また許可の内容によっては、2ヶ月、3か月とかかる場合もあります。そのため、許可申請をおこなう際、提出期限、審査期間の確認をしておくほうがよいでしょう。
○手間と時間を考える
これまでご紹介したとおり『追認的農地転用許可』は手間と時間がかかります。
また一般の方がおこなうと更に手間も時間もかかるため、建物等の売買等をおこなうのであれば専門家の行政書士に依頼するのが無難といえます。特に、大阪府や大阪市内などの都市部においては、農地森林専門の行政書士も少ないため、当事務所へお気軽にご相談いただければ幸いです。農地の立地は、全国各地どこでも対応しております。
『追認的農地転用許可』ができない農地について

○『追認的農地転用許可』手続をお受けできない場合がございます。
これまで『追認的農地転用許可』の手続についてご紹介致しましたが、上記でも記載したとおり、 農地の立地や農地転用時期により『追認的農地転用許可』が認められない場合があります。最悪な場合、原状回復命令が下りる可能性もあります。
主な例は以下になります。
- 農地の立地により、農地転用許可が下りない。
- 農地転用をおこなった時期により、農地転用許可が下りない。
- その他、周辺農地への影響等により農地転用許可が下りない。 など
もちろん、農地転用許可の見込みがあるかどうかを手続前にお調べは致しますが、その結果、当事務所で手続をお受けできない場合があります。予めご了承いただければと思います。
万一『追認的農地転用許可』の見込みがない場合であっても、ほかの活用方法など個別的なご相談をさせていただく場合もございます。
農地・森林等に関するご相談はこちらまで

○お気軽のお問合せ、ご相談下さい。
以上が『追認的農地転用許可』になります。
当事務所では、今回ご紹介致しました建物等の土地が農地のため、お困りの方の支援をさせていただいております。そのほか令和5年4月より開始する『相続土地国庫帰属制度』の相談や代行もおこなっております。お気軽にご連絡をいただければ幸いです。
最後に、繰り返しになりますが『農地転用』は本来、農地転用する前に許可を受ける必要があります。
近年、相続により農地転用未許可の土地が多く判明し、ご相談も増加しています。
しかし『追認的農地転用許可』は、事後的救済措置であるということを忘れないよう、お願いしたいと思います。そして『追認的農地転用許可』は、農地の立地や転用時期等により、必ず受けることができる許可ではないということもお忘れないようお願いしたいと思います。
お問合せ、お待ちしております。
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