農地相続の注意点とこれからの農地活用について色々考えてみました!

農地相続で、最近感じた注意点「3つ」をご紹介。

この度は野口真守行政書士事務所のHPをご覧いただきありがとうございます。当所は都心部の大阪市内では珍しい農地・森林・農業専門の行政書士事務所です。大阪市内ですが全国各地にある農地・森林・原野の、相談、調査・診断・助言・手続等をさせていただいております。農地・森林・原野の活用でお困りでしたらお気軽にご相談下さい。

今回ご紹介するのは、農地相続の注意点について

農地を相続する際には、さまざまな問題や注意点があります。またそれら問題や注意点は、その農地の立地によって異なり個別的でもあります。そのため農地の相続で失敗したという話しを、仕事柄よくお伺いします。

そこで今回は、ここ最近で私がお話しを聞いたり、実際にあった農地相続で注意が必要と思った、お話し3つをご紹介致します。

それではまず『不動産登記簿だけではわからない。農地の怖さ』からご紹介します。


不動産登記簿だけではわからない。農地の怖さ

○関連組合に問い合わせたら、知らない人が組合費を支払っていた。

当事務所独自の事業である『農地活用診断』。少しずつですが、ご理解いただきご依頼をいただいております。この事業をおこなうキッカケは、農地を相続した後、その農地をどのように活用したらよいかを判断するための参考資料になればと思いスタートいたしました。

私が活用診断を進める理由ですが、それは農地は登記簿を見ただけでは何も分からないからです。

農地関連の規制や関連組合など、士業でも分からない部分が多くあり、それを確認せず売買等をおこなおうとして、かえってえらい目を見たという話しを多く聞いてきたからです。

最近も、この活用診断をおこなったことにより、農地が相続人以外により耕作されている可能性があることが判明した案件もあります。

農地、森林も含め、不動産登記簿だけではわからない怖さがあります。

当事務所の『農地活用診断』について こちら


事後転用と農業委員会の関係

○今後、事後農地転用は厳しくなる可能性。

当事務所への相談で、よくある案件の一つが『事後転用』です。

まず『事後農地転用』とは、農地転用の許可を得ずに転用した農地で、後から農地転用許可を願い出る転用のことです。例えば、土地の地目が農地のままの住宅などがそれにあたります。

これまでは、非農地証明願や事後的農地転用許可など農業委員会も対応していただいてました。

しかし事後転用があまりにも多いため、国は事後転用を認めないという方針が出てきたそうで、農業委員会もその方針を尊重していくという話しが出てきているそうです。

そのため非農地証明願や事後的農地転用許可などの手続を認めない農業委員会が増加すると思われ、最悪の場合、建物が建っていたとしても現状回復命令がされる可能性があり、今後、より慎重な手続が求められます。

これから土地の地目が農地のままの住宅は、特に注意しなければなりません。

事後的農地転用許可の当事務所手続について こちら


農業のM&Aの落とし穴とは

○他業種とは異なる農業のM&A。

先日、とある農業に関するM&Aオンラインセミナーに参加させていただきました。

主催者はM&Aのプラットフォームの企業です。セミナーは、実際に承継させたい農家さんと、承継された農家さん数人から生の声が聞けてよかったと思います。それぞれ承継の理由や、農業の大変さなどのお話しがあり大変参考になりましたが、気になった点もありました。

それは被承継人の『相続』についてです。

事業承継ということなので、てっきり農地売買がされていると思っていましたが、そうではなく農地は貸借されているという話しでした。これでは被承継人が亡くなった場合、相続人が相続税などを負担しなければならず、相続人にとって事業承継になっていないと考えられます。

そのため事業承継を行うのであれば農地の所有権も含めて考えないと、被承継人の相続人と争いとなった場合、出て行かざる負えなくなる可能性も考えられます。その農地や設備が高額になれば尚更です。

M&Aは年々増加傾向にあります。その理由として、事業を継ぐ者がいないからです。その本質は『相続』と考えています。そのため事業によっては、事業承継後の『相続』も考える必要があると当事務所では考えています。


最後に

○農地相続は、慎重に。

以上が『農地相続の注意点とこれからの農地活用について色々考えてみました!』になります。

間もなくコロナ禍明けのお盆の時期が迫り、家族でも相続について考える機会となります。また令和6年には相続登記の義務化も控えており、農地の相続問題が表面化すると考えられます。

今年のお盆は、相続が発生する前の事前対策を今から考えるよい機会かもしれません。

それでは、以上となります。ありがとうございました。

相続登記の義務化について(法務局HP) こちら