農地に関する相続・売買・転用・国庫帰属などのご相談、調査、手続支援をおこなっております。

はじめに、農地について

○国土の約10%は農地

日本は世界でも稀にみる、自然豊かな国。

特に森林は、国土の約70%近くあり、また農地も約10%にのぼります。そのため日本では、水の確保がしやすく、農作物も育てやすくもあります。特に水が豊富にあるため日本は米どころの国になることができたといえます。

しかし現在、人口減少をはじめ、農業従事者の高齢化や減少、農地相続による耕作放棄などにより、農地面積は年々減少しています。


○農地の種類について

農地と一言でいっても、さまざまな種類があります。

例えば、水田の田んぼをはじめ、畑や、くだものなどの果樹も農地にあたります。また近年人気のイチゴやトマトなどのハウスもあります。農地は、その地域の土壌や気候などにあった農作物を育てられています。そのため、その農地がどのような地域に立地しているか、どのような農作物を育てているかなどにより農地の種類は異なります。

また、不動産登記簿上の農地について、田んぼは『田』それ以外の多くは『畑』となっています。田んぼを畑に利用する場合(またその反対も)、地目変更が必要となりますのでご注意下さい。

そのほか農地周辺には、水路や里道、ため池など耕作するには欠かせない土地もあります。


○現在の農業について

現在、農業は大きく変化しています。

これまでの1次産業(生産)のみの農業から、2次産業(加工)、3次産業(販売)までを一括に行う『6次産業化』をはじめ、『地理的表示制度(GI)』や『地域団体商標』による農作物のブランド化と海外輸出、AI管理による生産性の向上など、農業の事業は幅広くなってきており、それが農業従事者の所得増加へ繋げています。

また、農業法人や農業の雇用も増加しコロナ禍をきっかけに農業に興味を持つ人も増え、都市部から地方へ移住も少しずつ増えてきています。

今後の課題は、新規就農者への農地規制の緩和が重要と考えられています。


農地の問題について

○農地の相続問題

農地問題の中で、一番の問題が相続。

農林水産省発表の『農業労働力に関する統計、基幹的農業従事者(個人経営体)』によると令和4年度の農業従事者の平均年齢は、68.4歳といわれています。

このことからも、農家の相続が増加することは間違いなく、また耕作放棄地の増加もあわせて考えられています。また、農地はほかの不動産に比べ、価値が低いため、これまで相続登記がされていない未登記の農地も多く、相続登記をするためには先代、先々代の相続をしてからでないとできない場合もあります。また数次相続の場合、費用と時間の負担が大きくなるため、数次相続は、これまで相続登記を放置されてきました。

しかし国は『所有者不明土地』を減らすため、令和6年に相続登記の義務化を開始することが決まっています。これにより、これまで放置されていた農地の相続人を明確にできると期待される反面、明確になることにより相続人の、農地の耕作、管理など負担が増加するのではと考えられています。


○農地規制と手続の問題

農地は、相続するにも市町村への届出が必要。

農地は、ほかの不動産にない規制があります。例えば、売買、貸借などをするにも許可が必要となり、相続する場合でも、市町村への届出が必要となります。

これは『農地法』と呼ばれる法律による規制で、農地の状態のまま所有権の移転、設定等をする場合(3条許可)、農地を農地以外に利用する農地転用をする場合(4条許可)、第三者に農地転用して所有権の移転等をする場合(5条許可)などがあり、これらはそれぞれ手続が必要となります。

そのほかにも、農地転用をせず、建物が既に建っていたり、駐車場になっていたりする場合の手続や、農地が森林化してしまっているなどの場合も手続きが必要となります。

このように農地は規制が多く、ほかの土地と取り扱いが異なるため、万一、これら手続を怠ってしまうと、最悪の場合、農地へ原状回復するよう命令がされる場合もあります。

そのため、これから相続する相続人は、これら規制があることを知っておく必要があります。なぜなら、このような問題が発覚するのは相続時に多く、被相続人が亡くなり、相続人が新たな所有者となる時に判明するためです。

また、一般の方では解決できない場合も多くありますので、上記のような場合、行政書士などの専門家へ相談するのが無難です。


○農地の立地する地域の問題

農地は、地域性が高い土地である。

農地の多くは、一筆のみで構成されているわけではなく、数筆の農地によって構成されています。そのため、所有者の農地だけでなく、隣接する農地についても気を遣わなければならず、そのほかにも農地周辺の水路や里道、ため池などにも気を遣わなければなりません。

また農地の立地によって、様々な組合が存在する場合もあります。例えば、農業協同組合(JA)をはじめ、水利組合や土地改良区などがあります。これら組合によっては、組合の施設(ため池など)を管理するため組合費を徴収していたり、草刈りなどの作業に参加しなければならない場合もあります。

また近年問題となっているのが、これら組合の組合員減少による、組合施設の管理費が賄えないことです。これにより、組合施設が利用できなくなる、整備不良による事故の発生などが起きるのではといわれています。


農地の手続や支援について

○農地の相続手続について

当事務所では、全国各地どこの農地でも対応致します。

上記でも記載したとおり、農地の相続をするためには届出が必要となります。この届出は、全国同じではなく市町村により手続が異なるため、各市町村に確認をしなければなりません。

そのほかにも組合等の確認も必要となり、これら組合の有無を調査する必要もあります。万一、組合が存する場合、そちらの手続も必要となり、農地の相続手続きは多岐に渡ります。

また農地には様々な規制があり、相続の届出以外にも必要な手続が発生する場合があります。その場合も相続と同じで、各農地の立地する市町村や農地の現況や種類、地域性、そのほかの状況により農地の手続きは異なります。例えば、同じ手続でも市町村によって提出する書面や添付書類も異なります。またこれら手続を行うためには、土地に関する知識も必要になります。

そのため費用は掛かりますが、行政書士などの専門家に依頼するのが無難です。


○農地の転用手続きについて

当事務所では、追認的農地転用許可も承っております。

農地転用許可とは、農地を農地以外に利用するための許可のことを言い、農地法の4条許可又は5条許可がそれにあたります。この4条許可、5条許可は原則、農地を転用する前に申請をおこなわなければならないのですが、既に農地転用をおこなってしまっている場合もあります。

例えば、先代が農地を既に駐車場にしてしまっている場合や、農地上に住宅を既に建築してしまっている場合などがそれにあたります。その土地が農地かどうかは、見た目ではわからなないため放置されやすく、それが相続や売買などで不動産登記を確認したときに農地であることが判明します。

この場合、本来であれば農地転用は認められませんが、要件等により追認的農地転用許可を行うことができる場合があります。ただし、その要件を満たすためにはその農地の立地について様々な調査が必要となります。例えば、農用地区域についてなどをはじめとする調査が必要となり、一般の方では難しいため、費用は掛かりますが、行政書士などの専門家に依頼するのが無難です。

また追認的農地転用許可は、農地の立地等により許可が認められず、原状回復命令の場合もありますので、注意が必要です。


○農地の活用支援について

令和5年4月27日より開始する『相続土地国庫帰属制度』の利用も。

これまで農地についてさまざまな内容をご紹介しました。その中でも特に農地相続は、大きな問題となっています。そのため当事務所では、農地を相続された相続人とともに、これからの農地活用を考え、支援をおこなっていきたいと考えております。

まずはしっかりと農地相続の手続をおこないます。相続の届出をはじめ、組合等の調査、地目と現況が異なる場合の手続、その他必要な手続があれば手続、支援致します。

農地の相続完了後は、相続人が農地を管理ができるのであればその活用を支援し、管理ができないのであれば、売買や貸借などができるかどうかの相談、調査、手続などの支援を行います。

活用方法の例として近年増加しているのが、市民農園です。農地自体の管理監督は必要ですが。所有者自らが耕作しなくてもよく、またコロナ禍より農業に興味を持った人たちにより需要も増えてきています。特に市街地の農地は需要が高く、支援を行っている業者も多数あります。そのほかにも、農地の耕作や管理をお願いしたり、立地によっては、農地転用も活用方法の一つなります。

また、相続した不要な土地、負担となる土地について、国に帰属させることができる新制度『相続土地国庫帰属制度』がこの令和5年4月より開始します。この制度は、農地はもちろん森林や宅地、雑種地など要件を満たせば、どの土地でも制度を利用することができます。そのためこれまで放置されていた農地や放置される可能性がある農地なども制度を利用することにより、新たな農地活用に繋がります。

最後に、農地の活用で最も重要なことは、農地を放置しないことです。活用がなかなかできない農地は、実際に多くあります。しかし『相続土地国庫帰属制度』のように新たな制度や法改正による緩和など、国や市町村などの自治体も、使われない土地を活用できないか常に模索し、土地活用に繋げようとしています。

今は農地の活用ができなかったとしても、新たな活用方法が考えられるかもしれません。そのため農地活用をあきらめず、長い目でみるのも一つと思います。


農地以外の土地について

○森林について

日本国土の約70%が森林

このページの最初にも書きましたが、森林は、日本国土の約70%もあります。そのため、相続についても森林は多くあるはずですが、森林は価値が低いため、農地同様に相続登記をされず、放置されている場合が多くあります。

しかし、上記でも記載しておりますが、これから相続登記の義務化が開始するため、これからの相続人は放置することができません。

また森林については、農地よりもリスクが高まっています。その理由の一つは、近年稀にみる異常気象による自然災害の増加です。これにより、森林の土砂崩れや雪崩などが全国各地で増加しています。また、熱海市のような土地の盛土切土などによる人災の可能性もあります。

そのため森林は、放置によるリスクが年々高まっています。当事務所では、所有者・相続人のリスクを軽減するため売買や貸借、経営管理など相談、調査、手続のほか、『森林経営管理制度』の支援をおこなっております。

 森林について詳しくは こちら


○空き家について

農地と同じだけ農家住宅の問題もある

農地があるところには必ず、農家住宅があります。農地が放置されている場合、農家住宅もあわせて放置されていると考えるのが自然です。そのため、農地の活用方法を考えるときには、農家住宅の活用方法もあわせて考える必要があります。

農家住宅は、通常の住宅と異なり規制がある場合が考えられますので注意が必要です。特に、都市計画の市街化調整区域にある農家住宅は注意が必要です。この場合、農家だけが居住することを認められていることが多く、売買や貸借をすることができません。そのため売買や貸借をしようとする場合、事前に手続きが必要となります。この手続をせずに売買、貸借等をおこなうと後々、問題となる可能性があります。

そのため農家住宅についても、費用は掛かりますが、行政書士などの専門家に依頼するのが無難です。


○利用できない土地について

分筆された建物を建てることができない小さな土地など

最後に、利用できない土地についてです。農地などでも10㎡に満たない農地などがありますが、市街化区域や市街化調整区域などにも、何らかの理由で分筆された建物を建てることができない小さな土地があります。このような小さな土地、利用できない土地でも固定資産税は発生し、所有し続けている限り税金を納付し続けなければならず、所有者の負担となっています。

これまでは、このような土地も相続し続けなければなりませんでしたが、上記でも記載した令和5年4月より開始する制度『相続土地国庫帰属制度』を利用することにより、相続人の負担をなくすことができる場合があります。

相続土地国庫帰属制度の手続支援については こちら

そのほかの土地についても要件を満たせば制度を利用できますので、例えば、遠方の不要な土地などで利用するのも一つかもしれません。


他士業との連携

○提携先他士業との連携

当事務所でおこなうことができない業務は専門の士業へ。

農地のほか、土地に関する相続手続きをおこなう場合、各専門士業との連携は欠かせません。そのため、当事務所では、各専門士業ごとに業務を提携し、ご依頼者様の負担にならないようワンストップで手続きをおこなっております。※各士業の費用は別途に掛かります。

もちろん、ご依頼者様ご自身で他士業と委任契約された場合も、ご対応させていただいております。

各種事務担当の士業について

  • 不動産登記簿の権利部に関する事務等:司法書士
  • 不動産登記簿の表題部に関する事務等:土地家屋調査士
  • 固定資産税等、税に関する事務等 :税理士
  • 農地の権利、近隣農地との紛争がある場合:弁護士
  • 不動産売買・貸借の媒介、仲介等:宅建士 ほか

農地に関するご相談はこちらまで

以上が、農地に関する活用支援のお話しとなります。

農地の問題は、個別具体的な場合が多く一概にはいえませんが、ただ一つ、農地でやってはいけないことは、農地を放置することです。放置し続けても何も解決はせず、より問題が大きくなるだけです。

現在、少しずつではありますが、国や市町村等の自治体も、所有者不明土地について法改正や新制度を開始しており、当事務所もそれにあわせて業務をおこなうよう心がけております。

上記でも記載致しましたが、今すぐに農地を活用できなかったとしても、将来に備えて活用することをいっしょに考え、次の世代へ農地をつなげていければと思っております。

そのためには、まずはお気軽にお問合せ下さい。全国各地、どちらの農地でも構いません。

はじめの第一歩は、放置しないよう行動を起こすことです。

当事務所は、そういった方のお力になれればと思っております。

報酬等に関する料金はこちら