【相続した土地でお困りの方】『相続土地国庫帰属制度』の相談・書面作成代行を致します。

利用できない・利用が難しい土地を相続した人のため、新たにできた制度が『相続土地国庫帰属制度』です。

【 写真はイメージです。 】

この度は野口真守行政書士事務所のHPをご覧いただきありがとうございます。当所は都心部の大阪市内では珍しい農地・森林・農業専門の行政書士事務所です。大阪市内ですが全国各地にある農地・森林の、調査・診断・助言・手続き等をさせていただいております。農地・森林の活用でお困りでしたらお気軽にご相談下さい。

相続による問題が、急激に増加しています。

『大相続時代』と呼ばれている昨今。団塊の世代が後期高齢者となり”相続問題待ったなし”状態です。あわせて土地に関する法令も改正・創設され”相続による不動産登記義務化”や”相続土地国庫帰属制度”など土地の規制と緩和に期待されています。

農地・森林は放置していても、何も解決致しません。

近年、異常気象や集中豪雨などこれまで起きなかった地域での自然災害が増加しております。万一、相続した森林や農地、空き家等が、近隣に損害を発生させてしまう可能性があります。特に、一度も行ったこともない土地は、どれだけリスクがあるのかわからないため、確認することが重要となります。しかし、多くの相続人は確認をせず、放置しているのが現状です。当所ではそのような相続人のため、現地調査等さまざまな支援を行っております。


『不動産』がある場合、相続による紛争が起きやすい

相続問題で一番厄介なのは『不動産』です。なぜなら『不動産』は金銭のように分割することができない”不可分財産”であるためです。そのため『不動産』は、誰が相続するかで問題となりやすいのです。

『相続不動産』は、大きく分けて2種類あります。

一つは『収益不動産』です。マンションや店舗など毎月家賃収入があるような『不動産』です。特に相続財産の大半が『収益不動産』になる場合、相続人同士の紛争となりがちです。

そしてもう一つは『負の不動産』です。『負動産』とよばれる『不動産』のことで収益性もなく、負担やリスクしかない、いわば”負の財産”です。例えば、遠方にある『農地』や『森林』『空き家』などがそれにあたります。これら『負動産』は『収益不動産』とは反対に、誰も相続したがらず、相続人同士の押し付け合いとなりやすいのです。そして『負動産』を相続した相続人の多くは相続後、自身で経営・管理することができず、そのまま放置する傾向にあります。


○農地・森林など『負動産』は、放置するとリスクが増加します。

当所では上記2種類の不動産のうち『負動産』でお困りの相続人等のため、さまざまな支援をさせていただいております。

その一つが2023年4月27日より開始する『相続土地国庫帰属制度』です。

この制度を利用することにより、相続人は自分自身で経営管理できない不要な土地を、国へ帰属させることができます。当所では『相続土地国庫帰属制度』を利用するため、相談、調査、確認、書面作成代行などを致します。

※令和5年4月27日より開始までは”法務局への相談”のみとなります。

まずは当所へ『相続土地国庫帰属制度』についてご相談いただき、相続した農地・森林について確認してみてはいかがでしょうか。

ここからは『相続土地国庫帰属制度』について、詳しくご紹介致します。


『相続土地国庫帰属制度』とは

【 写真はイメージです。 】

それでは『相続土地国庫帰属制度』について、詳しくご紹介致します。

○要件を満たし負担金を納付すれば相続した土地を国へ帰属できる。

『相続土地国庫帰属制度』とは、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律等による制度で、相続した不要な土地を、一定の要件を満たし、負担金を納付することにより国に帰属できる制度です。

これまでの国や自治体、民間などへの寄付は、引取側の裁量により限られていました。今回の制度は、要件を満たし、負担金等を納付すれば国に帰属させることができるため、寄付よりも手離れしやすくなったのが特徴です。

また相続放棄をせず、一旦相続してから制度を利用しますので、すべての財産を放棄しなくてもよくなるため、他の財産を相続することができます。

そのほか特徴として、相続時期は問われませんので、登記簿上所有原因が相続の場合、その土地は利用することができます。そのため遺言書作成前にこの制度を利用して相続人の負担軽減に繋げることもできます。

このように『相続土地国庫帰属制度』は、色々な利用方法が考えられるため、不要な不動産でお困りな方は制度利用に適していると考えられます。

続きまして、手続きの流れについてご案内いたします。

『相続土地国庫帰属制度』の手続

【 写真はイメージです。 】

ここからは、『相続土地国庫帰属制度』の手続きについてご紹介致します。

○ 手続は①法務局への相談(任意)②申請③審査④承認⑤納付⑥完了の順

『相続土地国庫帰属制度』の手続は、以下の6つとなります。

  1. 法務局への相談(任意)
  2. 土地相続人等による承認申請(申請要件)
  3. 法務大臣による審査(審査要件)
  4. 法務大臣による通知
  5. 承認申請者による負担金の納付
  6. 負担金納付後、国庫帰属完了 

特に重要なるのが、①②です。この二つの要件にしっかり当てはまっているかの確認を怠ると、この制度は利用することができません。

また「1.法務局への相談」が新たにできるようになったため、追加いたしました。

詳しくは、”法務局への相談”をご覧下さい。

それではまず「1.法務局への相談(任意)」から順にご紹介致します。


①法務局への相談(任意) 

まず”法務局への相談”とは、令和5年2月22日より開始した、申請する前に制度を利用できるかどうか確認することができる相談のことです。申請手続にはあたりませんので任意となりますが、当所では事前におこなう方がよいと考えているため、申請手続に含めております。

”法務局への相談”は、実際の申請先である法務局へ相談することができるため相談することにより申請手続もスムーズにしやすくなるのではないかと思われます。

メリットが多い”法務局への相談”ですが、注意点もあります。

まず一つ目が”法務局への相談”をおこなうためには、土地に関する書類が必要となります。そのため土地に詳しくない所有者には難しいと思われます。

二つ目が、相談できる時間が短い点です。法務局へ相談できる時間は30分以内と定められているため、要点をまとめておかないとすぐに時間が無くなってしまいます。

そして3つ目が、土地に関する知識がないと相談してもどうしたらよいかわからない点です。制度を利用するための要件は細かくあるため土地の知識がないと結局どうすればよいかわからず、せっかくの相談も無駄になってしまいます。

それでは手続について「1.土地相続人等による承認申請(申請要件)」から順にご紹介致します。


②土地相続人等による承認申請(申請要件) 

『相続土地国庫帰属制度』の申請をするにはいくつかの要件があります。この要件を満たしていないと申請することはできません。そのためまず、申請できるかどうか確認する必要があります。

以下が要件となります。

  1. 土地所有者であること、※共有者が複数いる場合、その全員の同意が必要。
  2. 土地の所有原因は相続(遺贈の場合、相続人に対する遺贈に限る。)によること。ただし、共有者の中に所有原因が相続人でない者がいても、他の共有者に相続人がいる場合、承認申請は可能。
  3. 以下、5つの要件すべてに該当しない土地であること。
  • 建物が存する土地
  • 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
  • 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地

(政令:現に通路に供されている、墓地、境内地、水道用地・用悪水路・ため池)

  • 土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)第二条第一項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地
  • 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

また、上記申請要件以外にも申請するためには、申請書類の作成のほか、不動産登記事項証明書や公図などの必要書類の収集をはじめ、現地の形状や境界などを確認できる写真などが必要となります。(書面作成を行うのが難しい場合、当所へご相談下さい。)

また申請の際、審査手数料がかかりますので、費用に関して確認が必要です。

申請先は、帰属させたい土地を管轄する法務局、地方法務局(予定)へ申請します。

申請がされると、次に「2.法務大臣による審査」へ進みます。


③法務大臣による審査(審査要件)

上記の申請がされると、次に法務大臣による審査へ移ります。法務局担当官による書類審査、実地調査を経て、法務大臣による処分(承認、不承認)の通知がされます。この審査にも要件(審査要件)があり、以下が審査要件となります。

この審査要件に該当しない場合、法務大臣は承認しなければなりません。そのため、事前に審査要件も確認しておくことをお勧めしています。

  1. 崖(政令で定めるもの)がある土地のうち 、その通常の管理にあたり過分の費用又は労力を要するもの(政令:勾配が30度以上であり、かつ、その高さが5メートル以上のものである。)
  2. 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
  3. 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
  4. 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの(政令:囲繞地・通行、所有権使用・収益を妨害されている土地)
  5. 前各号に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの(政令:土砂の崩壊等災害の発生・恐れがある、動物が生息する土地であり周辺に被害が発生、恐れがある、適合させるために追加の保育等が必要な森林、金銭債務がある。)

なお土地が農地、森林の場合、法務大臣は、財務大臣及び農林水産大臣の意見を聴取しなければなりません。そのため、他の土地よりも審査期間が長くなる可能性があります。

上記、審査がされると、「3.法務大臣による通知」へ進みます。


④法務大臣による通知

法務大臣による通知は、承認通知又は不承認通知の二つがあります。

承認通知が届いた場合、その通知とあわせて負担金額が記載された書面も送られますので、必ず確認をお願い致します。

不承認通知が届いた場合、『相続土地国庫帰属制度』を利用できません。

承認通知が届いた場合、「4.土地相続人による負担金の納付」へ進みます。


④承認申請者による負担金の納付

負担金の納付については、承認通知とあわせて届いた負担金に関する書面で、負担金額、納付期限、納付方法等の記載がされていると思われますので、必ず内容を確認します。

負担金額については、原則20万円としておりますが、土地の種類により以下の4つに分類、算出されます。

  1. 宅地:面積にかかわらず、20万円(※市街化区域内又は用地地域指定の地域内は、面積に応じ算定
  2. 田、畑:面積にかかわらず、20万円(※市街化区域内又は用地地域指定の地域内、農用地区域内、土地改良事業等の施行区域内は、面積に応じ算定)
  3. 森林:面積に応じ算定
  4. その他(雑種地、原野等):面積にかかわらず、20万円

※面積により算定が必要な土地の場合、以下のURLよりご確認下さい。

法務省:相続土地国庫帰属制度の負担金 (moj.go.jp)

特に期限について、負担金の額の通知を受けた日から30日以内に納付をしなければならず、この期限を過ぎてしまうと承認の効力を失いますのでご注意下さい。


⑤負担金納付後、⑥国庫帰属完了

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の11条1項によると、

承認申請者が負担金を納付したときは、その納付の時において、第五条第一項の承認に係る土地の所有権は、国庫に帰属する。

e-GOV検索、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律より

とされており、承認申請者は、負担金を納付したとき、土地は国庫へ帰属します。


『相続土地国庫帰属制度』の利用について

これまで『相続土地国庫帰属制度』の内容や申請手続きについてご紹介致しました。

ここからは『相続土地国庫帰属制度』の利用について、いくつかご紹介致します。

  • 遺言書作成前に、制度を利用する。
  • 二筆以上の特例を利用する
  • 囲繞地の土地の場合、隣地とあわせて利用する。
  • 共有者に相続原因の者がいる場合に利用する。
  • 建物が建てることができない小さな宅地で利用する。

○遺言書作成前に、制度を利用する。

上記でも記載していますが、この『相続土地国庫帰属制度』は、相続の時期は問われません。

そのため、必ずしも所有者が亡くならないと利用できないわけではなく、既に相続原因で所有している所有者もこの制度を利用することができます。

特に、遺言書作成をされている方や相続人の負担を軽減したいと考えている方は、制度を利用してみるのもよいかもしれません。


二筆以上の特例を利用する

農地・森林などの相続人の多くは、複数筆の土地を相続している場合が多くあります。その場合、この制度の特例、『隣接する二筆以上の土地の負担金算定特例』を利用する方法があります。

この特例を利用することにより、二筆以上の土地を一筆とみなして負担金を算定することができ、負担金を減額することができる場合があります。

ただし、この特例は、隣接していないとできませんので、隣接しているかどうかの確認が必要です。


囲繞地の土地の場合、隣地とあわせて利用する。

農地・森林の土地は、公道や里道に面していない囲繞地(いにょうち)と呼ばれる土地が多くあります。この場合、②法務大臣による要件審査(審査要件)の4にかかり、この制度を利用できません。

しかし、隣接する土地が公道等に接している土地であって、あわせて申請する場合やその他の理由により、この制度を利用できる可能性があります。※ただし、原則、隣接する土地所有者の所有原因が相続である必要があります。

そのため、囲繞地(いにょうち)であっても制度を利用できる方法があるかもしれません。


○共有者に相続原因の者がいる場合に利用する。

所有者自身の所有原因が売買など相続以外の場合でも、共有者に相続原因の者がいれば、この制度を利用することができます。※ただし、制度を利用するためには、全員の同意が必要となります。


建物が建てることができない小さな宅地等で利用する。

土地の分筆等により、建物が建てれない小さな宅地等の場合、制度を利用するのはよいかもしれません。放置して固定資産税を納め続けるよりも、納付金はかかりますが、次の世代への負担を減らすため、一度検討してもよいと思います。

このほかにも、この制度の利用が増えてくることにより、更なる利用方法も考えられます。


『相続土地国庫帰属制度』の注意点

ここでは『相続土地国庫帰属制度』の注意点についてご紹介致します。

申請要件、審査要件にはなっておりませんが、後々問題になりかねない、支障をきたす可能性があるものをあげております。申請をする前にご確認いただければと思います。

  • 不動産登記されていなければ、利用することはできない。
  • 建物がある場合、撤去が必要
  • 土地改良区、水利組合、その他、組合等の確認。
  • 水路や里道等の、所有者の確認
  • 要件があわないからといって、すぐにあきらめない

このほかにも個別具体的な注意点も考えられます。予めご了承いただけますようお願い致します。


○不動産登記されていなければ、利用することはできない。

まず、大前提として、所有者が相続による不動産登記を済ませていなければ、この制度は利用できません。(戸籍等、必要書類がある場合を除く。)そのため未登記の場合や、数次相続などの場合、まずはそちらを整理してからになります。

そのほか、現況と地目が異なる場合も、地目を整理しておいた方がよいと思われます。(特に農地)

※令和6年に相続登記の義務化も開始致しますので今から行っておくのもよいと思います。


建物がある場合、撤去が必要

土地に建物がある場合、そのと建物を撤去する必要があります。そのほか、住宅などである従物(樹木等)も撤去の対象と考えられますの、でそちらもあわせて撤去を行う必要があります。

撤去費用については、自治体によって補助事業がある場合も考えられますので、各市町村等に問い合わせてみるのもよいかもしれません。

また、森林(立木)につきましては、建物扱いされませんので、そのままの状態で制度を利用できると思われます。


土地改良区、水利組合、その他、組合等の確認

農地や森林について、その土地が「土地改良区」や「水利組合」その他、組合等に属している場合(組合員)があります。万一、組合等に属している場合、組合員の脱退の届出や同意、決済金などが必要になる場合も考えられます。

そのため、その土地が何かの組合に属しているか、確認するのがよいでしょう。


水路や里道等、所有者の確認。

水路や里道等に接している場合、それを誰が所有しているのか確認するのがよいでしょう。

水路や里道等の多くは、自治体等が所有している場合が多いですが、万一、私道の場合、後々問題となる可能性がありです。そのため、確認することをお勧めします。


要件があわないからといって、すぐにあきらめない

最後に、注意点というわけではありませんが、申請要件、審査要件を満たすことができない土地の場合も多くあると思います。しかし、土地の立地等によっては、申請できる可能性もあると考えております。

そのため、土地が要件に合わないからといって、あきらめるのではなく、要件を満たすためにどうすればよいか考えることも必要かもしれません。


『相続土地国庫帰属制度』に関するご相談はこちらまで

以上が『相続土地国庫帰属制度』のご紹介になります。

当所へご依頼いただく農地・森林のご相談の多くは、相続後のご相談が多くあります。また農地・森林の所在地とは別のところに所有者様が在住されている場合もあり農地・森林をそのまま放置されている場合も多くあります。

しかし、上記でも記載したように近年、農地・森林の法令創設・改正などがされており、放置することによる負担は、増加傾向にあります。

当所では、そのようにならないためにも、令和5年4月より開始する『相続土地国庫帰属制度』の利用に力を入れております。

少しでもご興味をお持ちになられましたら、お気軽に当所へご相談いただければと思います。

(※制度開始までの間は、相談と”法務局への相談”になります。予めご了承下さいませ。)

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