相続土地国庫帰属制度とは
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今回ご紹介するのは、相続土地国庫帰属制度の負担金
『相続土地国庫帰属制度』の利用を考えている方の最も関心のあることは、この負担金の金額だと思います。当事務所においても、まずこの負担金について聞かれることが多々あります。そのため今回、この『負担金』をピックアップして、さまざまなポイントをご紹介していきたいと思います。
それではまず『相続土地国庫帰属制度』について詳しくご紹介します。
○要件を満たし負担金を納付すれば相続した土地を国へ帰属できる。
『相続土地国庫帰属制度』とは、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律等による制度で、相続した不要な土地を、一定の要件を満たし、負担金を納付することにより国に帰属できる制度です。この制度は令和5年4月より開始する新たな制度です。
『相続土地国庫帰属制度』について詳しくは、法務省HP こちら
これまでの国や自治体、民間などへの寄付は、引取側の裁量により限られていました。今回の制度は、要件を満たし、負担金等を納付すれば国に帰属させることができるため、寄付よりも手離れしやすくなったのが特徴です。
また相続放棄をせず、一旦相続してから制度を利用しますので、すべての財産を放棄しなくてもよくなるため、他の財産を相続することができます。
そのほか特徴として、相続時期は問われませんので、登記簿上所有原因が相続の場合、その土地は利用することができます。そのため遺言書作成前にこの制度を利用することにより相続人の相続税や固定資産税など、負担軽減に繋げることもできます。
ここからは『負担金』についてご紹介致しますが、まずは”相続土地国庫帰属制度の負担金について”から進めていきたいと思います。
相続土地国庫帰属制度の負担金について
○負担金を納付することにより国へ帰属できる。
まず『負担金』についてご紹介致します。
この『相続土地国庫帰属制度』を利用するには、一定の要件を満たすことも重要ですが、あわせて『負担金の納付』も重要となります。
(『一定の要件』について詳しくは、 こちら )
というのは『負担金』を納付することにより、はじめて土地を国庫に帰属できるからです。『負担金』を納付せず30日を経過すると、土地を国へ帰属させることができません。そのため『負担金』は重要となります。
○負担金は、原則20万円ではあるが・・・。
それでは次に『負担金』の納付額についてです。納付額は、一筆あたり原則20万円とされていますが、その土地(地目)により納付額の算定が変わります。
そして土地(地目)は以下の4種類に分けられています。
- ①宅地
- ②農地
- ③森林
- ④ ①~③以外の土地
まず『負担金』を算定する際、上記4種類の地目のうちどれにあたるのか確認します。
①の『宅地』は、建物を建てることのできる土地になり『地目』も『宅地』とされています。
②の『農地』は、『地目』でいうところの『田』『畑』がそれにあたります。なお『採草放牧地』につきましては、各法務局へ問合せいただいた方がよいと思います。
③の『森林』は、『山林』や『保安林』という『地目』になります。
④の①~③以外の土地について、主な『地目』として『雑種地』や『原野』などがそれにあたります。
これら、4つの土地(地目)のどれにあたるのか、確認することにより一筆あたりの負担金を算定することができます。また負担金には、特例があり負担金額を抑えることができます。これにつきましては、次の項目でご紹介致します。
負担金を安くする方法
○負担金算定特例を利用する
負担金について申請者の方が最も気になるのがその金額です。できるのであれば金額を抑えたいという方がほとんどと思います。そこでここからは、負担金額を抑えることができるかもしれない『負担金算定特例』についてご紹介します。
『負担金算定特例』とは、隣接している2筆以上の土地の場合、その2筆以上の土地を一つの土地とみなして算定することができる特例をいいます。例えば1筆が20万円の土地を2筆帰属させる場合、負担金は40万円になります。
しかし、この『負担金特例』を利用した場合、2筆を1筆とみなし算定することにより負担金は20万円になります。単純に半額になるというわけです。
この『負担金算定特例』を利用することにより、複数筆を所有している方にとっては負担金を抑えることができます。
○負担金算定特例の利用するには
負担金算定特例を利用するためには、各申請書に加えて負担金算定特例の申出書申を提出しなければなりません。これを怠ると申請は個別となってしまい、それぞれ原則20万円ずつになってしまいます。
また二筆以上の土地の申請を同時にすることが必要となります。各審査の際、あわせて行う必要があると考えられるため、同時申請が重要となります。
これらの手続をおこなうことにより、負担金額を抑えることができます。
負担金算定特例の注意点
これまでご紹介した負担金特例ですが、利用にあたって注意点がいくつかあります。ここからは、主な注意点3つについてご紹介したいと思います。
○異なる地目では利用できない
負担金算定特例は、隣接する複数の土地を一筆として算定をするため、土地の地目はすべて同一でなければなりません。万一同一でない場合、この特例を利用することはできません。
例えば、宅地と雑種地では使えません。
そのため土地の地目が何であるかを必ず確認する必要があります。
○承認が下りない場合を考えておく
次に、承認がおりない場合も考えなければなりません。申請した土地のうち承認されなかった土地があった場合、その土地を除いた土地で算定されることになります。そのため場合により、負担金算定特例自体が受けれなくなってしまう場合もあります。そうなった場合、どうするのかも考えておかなければなりません。
○申請者が複数の場合、代表者を決めなければならない。
所有者が異なる複数の土地の場合、その所有者の中からひとり、代表者を決めなければなりません。なぜなら負担金算定特例を利用した場合、納付する者は一括化され代表者一名が納めることになるからです。そのため代表者は、他の所有者から負担金を預かるか、もしくは立て替える必要があります。
以上が主な注意点3つとなります。非常に重要ですので確認を行なって下さい。
最後に
以上が『相続土地国庫帰属制度』の負担金についてになります。
一度は諦めていた制度利用も方法によっては負担金額を抑えることができますので、どのようにしたら負担金額を下げることができるのか、検討してみてもよいのではないでしょうか。
また負担金の算定が難しい方や隣地所有者といっしょに制度を利用したいなどございましたら、当事務所へご相談いただければと思います。(初回無料です。)
『相続土地国庫帰属制度』の利用について詳しくは、当所ページ こちら
当事務所へのお問合せについては、当所ページ こちら
最後になりますが、不動産は所有し続ける限り、子の世代、孫の世代と、永遠にその負担やリスクは続いていきます。このような負担やリスクを後世へ引き継がせないためにも『相続土地国庫帰属制度』の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
今回は以上になります。最後までご覧いただきありがとうございました。