相続した森林について状態の確認・その他各種手続き等の支援事業

はじめに、森林の現況について

日本は世界でも稀にみる森林国家。

2005年国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、日本の国土面積(約3,779万ha)に占める森林の割合(森林率)は68.2%(約2,577万ha)であり、フィンランドに次いで世界2位となります。世界標準の森林率が約3割であることを考えると非常に高く、それだけ日本は森林に囲まれている証拠でもあります。また森林は世界的にも注目され、木材としてだけでなくCo2削減にも繋がることから中国など大幅に森林を増加している国もあります。反対に、熱帯林を持つブラジルなどは森林減少しており深刻な問題となっています。

日本の人工林の半数は伐採期。

森林にはいくつか種類があります。人の手で植栽・保育作業等された樹木を『人工林』と呼び、主にスギやヒノキなどの『針葉樹』からなります。その面積は森林面積の約4割・約1,000万haと広大で、また人工林の半数は50年以上の樹木となっており『主伐期』と呼ばれる伐採に適した時期に入っています。『人工林』は人の手によるため、きちんと管理しないと日光があたらない・下草が生えない・土壌も流亡しやすくなるなど保育が困難となります。そのため『人工林』は特に管理が必要です。

私有林の約4割は、管理されず放置されている可能性。

印西市の『令和2年度森林所有者アンケート調査概要』によると、所有している森林(私有林)について管理していないという回答が43%ありました。また、千葉市の『令和元年9月 森林環境基礎調査報告書』によると、森林の管理を10年以上放置しているという回答が42.2%あり、印西市とほぼ同じ割合です。

この統計だけでは全国の割合はわかりませんが、しかし印西市と千葉市では、約4割以上が私有林の管理がされていません。仮にこの割合を全国に当てはめた場合、私有林が1,449万ha(東北森林管理局より)とすると、約580万haもの私有林が放置されている計算になります。これは九州・沖縄を合わせた面積が約445万haであることを考えると、相当な広さの森林が管理されていない可能性があります。

森林所有者の高齢化による相続問題と森林の管理問題の関係。

日本は世界でも稀にみる超高齢化社会へ突入しています。そのため相続の問題は身近となっており、相続や信託に関する書籍や相談会等も増加しています。そして森林も相続問題に比例して放置される状態が増加する可能性があります。


日本は世界的にも森林に恵まれていますが、人々の森林への関心が薄いのかもしれません。しかし、現在発生している自然災害や脱炭素などの問題を解決するため、所有者は森林管理を考えなければなりません。


森林確認・手続き等支援事業とは

森林確認とは

森林を相続等により取得した相続人からの森林管理相談、森林を森林以外に利用したい人からの森林転用・土地開発等相談、森林を売却したい・手放したい人からの売買・譲渡等相談など、森林に関するさまざまな相談に対応しております。

また依頼者のご希望を確認した上で、森林に関する法令や、森林の現況、森林支援制度、森林所在地域の環境や慣例、その他必要な情報を調査し、依頼者の希望が実際に可能かどうかを確認・報告・助言を致します。(森林活用診断)

森林手続きとは

森林は広大な面積となるのため、所有者自身が所有森林を把握しきれていない場合や錯誤(勘違い)の場合などがあります。

そのため森林の経営管理をお願いする場合や森林の権利移転・利用方法の変更(転用)などを行う場合、それらを行う前にご自身が所有している森林に関する情報を確認して、把握しておかなければなりません。また森林は、保安目的による規制がされている場合があり、その場合の手続きは専門家でないとわからないことも多くあります。そのため当所では依頼者に代わり森林相談の報告等をもとに各種手続きを行っております。

森林相続でお困りであれば、早期にご相談下さい。(森林の相続後活用支援事業を参照)

森林は農地に比べ、時間をかけて成長し現況状態も緩やかに変化していきます。そのため管理が放置されがちですが、森林も農地と同じく現況が重要であるため、早く対応することに越したことはありません。これまで放置していた森林でも、思い立った時にご相談下さい。


当所の特徴

森林に関する手続きをワンストップで行うことができます

当所は行政書士事務所のため、森林に関する届出や各種制度申請等、その他手続きを代理して行うことができます。

ただし、森林に関する表題部登記の地目変更や権利部登記の所有者変更等の業務は業際にあたり、行うことはできません。そのため当所では、各種手続きが行える士業と提携しており、そちらを経由して行っております。これにより各種手続きをワンストップで行うことができます。

【 主な手続き業務と、その手続きを行う士業 】

  • 森林台帳届出・各種制度申請等手続き      行政書士
  • 民民又は官民境界明示申請等手続き       土地家屋調査士
  • 森林の表題部に関する登記等手続き       土地家屋調査士
  • 森林の権利部に関する登記等手続き       司法書士
  • 税に関すること                税理士   など

※依頼者指定の士業の先生がいらっしゃればそちらを優先致します。

地域にあわせた森林管理の相談・助言をしております。

当所は『地域にあわせた森林管理』を第一に考えています。なぜなら、その森林が所在する地域にあわせた管理が最も適しているためです。また2019年に創設された『森林経営管理制度』による市町村の森林集積も進んでおり、森林管理に関する制度利用の相談・助言などもさせていただいております。

※法令順守のため依頼者のご希望に添えない場合もありますが、ご理解いただければと思います。


対象者

以下の対象者に当てはまる方、その他森林についてお困りの方はご相談下さい。

【森林相談・手続き支援の対象者】

  • 相続等により森林を承継した方
  • 所有者自身は市街地に住んでおり、森林が別の所在地にある方
  • 森林所有が負担となっている方・管理が難しい方
  • 森林を有効に利用してほしいと考えている方
  • 不動産会社へ頼んだが断られた方 
  • 森林共有者に連絡の取れない人がいる方
  • 森林の手続きがわからない・森林を手放したい方   など

このほか、これから森林を相続する可能性のある方や現在森林を所有している方などもご相談下さい。


最後に

さまざまな森林問題に対応致します。まずはお気軽にご相談下さい。

森林の問題は、その案件ごとに相談内容や手続き方法が異なるため、一括りにすることが難しい業務でもあります。

例えば、森林共有者が複数・不明者がいる場合や森林を管理したいがどうしたらよいのかわからない場合、管理支援制度を利用したいがどこに行ったら分からない場合、森林を駐車場にしたい場合など、例を挙げればきりがないほど森林の問題があります。

ただし、一番の問題はその森林を放置してしまうことです。放置しても何も問題は解決しません。むしろ問題が深刻化することもあります。森林はその地域を自然災害から守る作用もあり、放置したことにより土砂崩れやなだれ・地滑りなどを引き起こす場合もあります。そしてその責任は所有者へ請求されることになります。そのため森林でお困りの方は放置せず、まずはご相談下さい。