
こんにちは。行政書士の野口です。
気がつけば12月に入り、今年も残り1か月を切りました。また昨日の夜中の雨から一気に寒くなり冬の訪れも肌感覚で感じています。体調管理に気を付けていかないといけませんね。
今回は、先日大阪で開催されました『バイオマスWEEK』での講演を拝聴して感じたことを書きたいと思います。『森林大国』日本に住んでいる私たちにとって、世界の『脱炭素』によるさまざまな問題の解決のヒントとなればと思います。
それでは最初に最近よく聞くワード『カーボンニュートラル』からです。
カーボンニュートラルとは

Co2の吸収と排出の相殺状態にあること
例えば、樹木は二酸化炭素を”吸収”します。そして熱を発生させるため、その樹木を伐採し燃やすことにより二酸化炭素を”排出”しています。
この『樹木による二酸化炭素の吸収量』と『樹木を燃やすことによる二酸化炭素の排出量』が同じ量であれば二酸化炭素の量は±0となります。このような相殺状態を『カーボンニュートラル』というそうです。
この相殺状態であれば二酸化炭素の量は増加せず『脱炭素』に繋がるということになります。
現在企業の中には、自社の作業で排出している二酸化炭素の量の分を、二酸化炭素の吸収するための支援を行うことにより『カーボンニュートラル』に取り組んでいる企業もあります。また、後進国への援助や支援を行うことによる『カーボンニュートラル』に取り組んでいる場合もあるそうです。
バイオマスとは

化石燃料以外の生物資源由来のことです。
我々の生活に欠かせない燃料『石油』。これは古来生物の残した資源なのですが、それははるか昔の時代もので『化石燃料』といいバイオマスにはなりません。バイオマスは現在の生物資源由来であることが必要であり、その一つが木質バイオマスになります。
木質バイオマスについて
再生エネルギーというとイメージするのが太陽光発電や風力発電など自然の力を利用したものをイメージされると思います。これらの発電は太陽の光や風力のためコストはかかりませんが、自然によるため発電量が不安定というデメリットがあります。そこで最近注目されているのが『木質バイオマス』のような生物資源です。
『木質バイオマス』は主に森林の伐採の際に出る残物を原料として木質燃料へと利用し、ボイラーなどで熱や電力などにエネルギー活用しています。安定して無駄なく生物資源を活用することができ、森林豊富な日本で少しづつ注目されています。
樹木を生育するためには何十年という月日がかかりますが、現代の資源であるためそれを利用することによりエネルギーや環境を循環することが出来ます。
木質バイオマスについて

木質バイオマスは主に熱利用
今回参加させていただいた 『バイオマスWEEK』での講演で特に印象に残ったのが木質バイオマスの特徴である『熱利用』です。設備によりますが『電力発電』は概ねエネルギー全体の20%程度しかなく、発電能力は再生エネルギーと比べてかなり低くなります。
しかし『熱』はさまざまなことに利用することができます。
例えば、お湯を沸かしたり、暖房として利用したり、意外なのが冷房として利用することもできるそうです。また、コロナ禍の中では殺菌にも利用することができるため、ある自治体では病院などで『木質バイオマス』を利用しているところも出てきています。また地方自治体では温泉などの温めにも利用が広がっているそうです。発電も20%あるため、病院などの公共インフラの非常電源として利用しているところもあり地方での利用が広がっているそうです。
木質バイオマスのメリットとデメリット

メリット
- 森林があればできる(地産地消)
上記でも書きましたが、日本国土の7割は森林のため『木質バイオマス』利用はほとんどの場所ですることができます。また近くに森林があるということで移動距離のCo2削減にもつながり地産地消で行うことができます。
- 材料があれば安定しやすい
現在、日本の森林の半数は主伐と呼ばれる伐採期をむかえており、森林の循環を上手くおこなえば『木質バイオマス』の材料を安定的に供給することができます。
- 雇用がうまれる
『木質バイオマス』事業を行うことにより、森林の循環や設備の管理、その他関連事業により新規雇用がうまれ、過疎化が進むような自治体では新たな住民を確保する機会となります。
デメリット
- 木材の種類による
『木質バイオマス』はどんな樹木でもいいわけではなく設備等により相性があります。現在、外国産の整備も多くあり、その国の樹木ではうまくいっていても日本の樹木ではうまくいかないことがあるため注意が必要であるそうです。
- 森林の適切な管理が必要
上記と重複しますが、森林の適切な管理が必要です。いくら主伐期にある森林といえど、その後の植生を疎かにしてしまうと持続的に循環することはできません。そのため植生・生育・主伐等ができるように計画を立てる必要があります。
- 管理の技術がいる
『木質バイオマス』を利用するためのボイラー等の設備の管理が必要です。
- 地域で協力してしなければならない
最も重要なのがこの『地域での協力』です。地域に協力してもらえないと『木質バイオマス』を行うことはできません。そのため、どのような目的でどのようなメリットがあり、デメリットがあり、地域へ貢献していくかという説明が重要となります。
最後に

以上、『木質バイオマス』についてでした。今回は 『バイオマスWEEK』での講演を拝聴することができて非常によかったです。このようなエネルギー利用により現在放置されている森林にも目が向いていけばいいと思っています。今回はここまでです。ありがとうございました。